誰にでもそのリスクはある、という話。

こんばんは。
連投ですみません、高橋です。
就活動画をあげてるエルトさんが、「未完了を完了させる」ことが大切とおっしゃっていたので、未提出の4月分を書き上げたという流れです。タメになる動画ですし、かっこいいので、良かったら見てみてください。私は好きです。

前回は、
自傷行為は、自殺念慮や自殺企図を促進させる
自傷経験のある人は、自尊心が低く、他者から見た自分の評価が不安定であることが多い
ということから、自殺行為に至る人は、自尊心が低いことや他者から見た自分の評価が一定ではないために自傷行為を繰り返し、その結果、自殺という手段を選ぶということになるのではないか、と導きました。しかし、自殺に至るまでには、自傷行為という事実や自尊心という内面以外にも、沢山の要素が詰まっていると思いました。
ですので今回は、精神疾患と自殺について書かれた、張 賢徳さんの『自殺リスクの評価 ―ハイリスク者の発見と対応―』をまとめていくことにします(前回同様、口調を変えます)。

 

この論文によると、「自殺者の約 90%が,自殺時に精神医学的診断のつくような状態になっている」と述べられており、自殺者はなんらかの精神疾患を患っていることがわかる。その精神疾患の割合は、WHOの公表データから最も多いのが気分障害で、その次に物質関連障害、統合失調症、パーソナリティ障害と続いていく。中でも気分障害、いわゆるうつ病は35.8%と自殺者の1/3を占める。

ところで、うつ病にはレベルがある。重症うつと軽症うつである。名前だけで判断すれば、重症のみが自殺リスクが高いと思われる。しかし、横浜市立大学精神科の河西千秋准教授、岩手医科大学精神科の大塚耕太郎講師、福岡大学精神科の衞藤暢明講師らによる、救命センターに搬送された重傷自殺未遂者の精神科診断を調べた結果、重傷自殺未遂者の約2割は軽症うつであった。つまり、うつ病を患っている人は、その症状の程度に限らず、自殺に至る可能性が高いということである。また、これを逆に言えば、重症うつと診断されているからといって、必ずしも自殺に至るわけではないということだ。

では、どういう基準で自殺に至るのだろうか。日本精神神経学会精神保健に関する委員会作成の『日常臨床における自殺予防の手引き』によると、「自殺念慮の具体的計画性、出現時期・持続性、強度、客観的観察、他害の可能性を評価し、いずれか一つでも存在する場合はリスクが高い」と述べられていることから、経済的苦境や失業、親しい人との離死別といった自殺の危険因子を持っている人でも、希死念慮が弱ければ、自殺のリスクが低いということだ。それとともに、一方、自殺の危険因子が見当たらない人でも、現在の希死念慮が強ければ自殺の危険があるということである。

これらの論文から、精神疾患を患う人はその程度に関わらず、希死念慮が強ければ自殺に至りやすいと言える。

 

今回はここまでにします。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

参考文献
『自殺リスクの評価 ―ハイリスク者の発見と対応―』
張 賢徳

『日常臨床における自殺予防の手引き』
日本精神神経学会精神保健に関する委員会作成