中絶問題における女性の権利②

こんにちは、松本沙希です。

前回の続きです。今回は女性の精神的負担を減らすために海外で行われている取り組みを見ていきます。

 

 中絶による女性の精神的負担を減らすには中絶前後の手厚いケアが不可欠ですが、今回は中絶前の施策に絞って調べました。

 

 内閣府が発表している中絶実施率(15〜49歳女性人口1000に対する中絶件数)を諸外国と比較したデータを見てみると、日本の中絶実施率は7.4%(外国と比べてかなり低い)でしたが、ドイツはさらに少ない5.9%でした。そのためここではドイツの取り組みを参考にします。

 

 小椋(2007)によると、ドイツでは中絶を行う3日より前に医師以外の者による「妊娠葛藤相談」を受けることが法的に義務付けられているようです。これについていくつかの問題が指摘されていますが、ドイツでは日本のように中絶体験による苦渋や悲嘆の声、自傷行為や自殺への結びつきを告白するウェブサイトはほとんど見られず、このことからも妊娠葛藤相談が女性の精神的負担を減らしていると理解ができます。

 

 私がこの取り組みについていいなと思ったところが2つあります。

①相談が“法的”に義務付けられていること

これにより一人で悩む女性を減らせるのではないかと思いました。特に日本には「育児こそ女性の喜び」だと考えるアホが一定数いるので、社会の声に女性の権利が押し潰されないようにある程度の強制力を持たせることはむしろ効果的だと思います。

②「少なくとも3日前」に相談する必要があること

これにより相談をしてから手術するまで最低3日間の猶予があり、自分の決断についてもう一度考え直すことも出来るのがいいと思いました。この期間を設けることで自分の選択を後悔する女性が少しは減るのではないでしょうか。

 

 でもまあこれがいくら良い取り組みでもドイツのものをそのまま日本に持ってくるのは難しいと思うので、この妊娠葛藤相談を日本に上手く応用するにはどうすればいいのかも考えました。

 

次回に続きます。


《参考》

小椋宗一郎「ドイツにおける「妊娠葛藤相談」について–義務付けられた相談をめぐる諸問題」『生命倫理」』第17巻第1号、2007年、pp.207-215

内閣府「選択する未来–人口推計から見えてくる未来像–」2015年、pp.1-267